2006年03月30日 19:30

4日目

 4日目。スペインは土曜日。いよいよ2日間に渡る「第1回スペイン数独選手権」が始まる。その大会のメインゲストとして呼ばれたのだった。会場のアメリカンセンターは博物館のおもむき。入り口には新品の赤い小型車が飾られている。さては? 当たり、優勝者の賞品でした。うひゃあ。副賞が6カ月間のスペイン全土鉄道フリーパス券その他。ありゃあ。エルムンドも気合いが入っているねえ。仕組みはこうだ。

 まず、「エルムンド」紙上のサムライ数独(難問)を50問(50日分)解き、盤面を切って封筒で応募する。エルムンド社は500人くらいを想定していたらしいが、なんと1万通集まったらしい。スペインで700万人が解いている、とカルロスが言っていたもんなあ。ごめん、そのあとインタビューやら、名刺交換やら、記念撮影で私がカルロスにインタビューできず。帰るまでに聞くのも忘れて。詰めが甘納豆の私でした。そんなこんな(?)で、今日の出走馬は32頭。各挑戦者に付き添い1人がOKで、彼等全員を全国から無料招待、2泊3日の旅(?)。ホテルも3食も、今夜のミュージカルもタダ。わおっ。1日目は32人が5問を解き、合計タイムで8人に絞る。いっぺんに5問は解きません。1問解くとインターバルが入ります。2日目は8人が1問を解いて上位(早解き)4人となり、準決勝は1問を解いて上位2人、決勝は1問を解いて早い方がチャンピオン。

 会場は松の木をガラス張りの壁に描き、フジヤマもあり、お琴がBGM。スペイン人の女の子が着物を着て顔を真っ白に塗り、口紅を真っ赤に塗り、蛇の目傘をくるくる回しながら場内のあちこちに。その人数、6人。私は驚けない状況。もちろん笑えない。これがハポンなのか。ふーむ。スペインでいちばん人気のある司会者(チョー美人)が進行役で、開会式の挨拶はわたくし。1分のつもりが野口さんの通訳もいれて15分くらいしゃべったか。思いっきり疲れるので、まずリラックスしてください、楽しんでくださいってなことを言った。私も昨日、おとといの2日間、ハードなスケジュールでしたがリラックスできたので楽しみました、と。

 張りつめた雰囲気の中での挨拶を経験したおかげさまで、先日(3月26日、秋葉原)行われたハドソン&ニコリの「数独早解き選手権」(任天堂DSでの数独発売記念)の挨拶でも冷静に「数独はみなさんご存じだと思いますが、読書のように気楽に向き合う、じっくりゆっくり味わうものなので、はやく解いても何の意味もありませんから、ゼヒ、リラックスして楽しんでください」と言えた。「あ、ハドソンさんには意味があります」と、とってつけた。司会者か高橋名人が「元も子もないご挨拶をありがとうなんたらかんたら」。会場の重い空気が少し飛んだからそれでいい。

 スペインでも挨拶だけして、野口さんとトレドへ観光に。マドリーからクルマで1時間ほどのトレドは素晴らしかった。来てよかった。トレドでのサインは2回。世界史にうとい私であることをまた確認した。夜はインタビューを食事しながら。仕事の気分、まるでなし。相手もホントに面白いことを聞いてくれるもんだ。第1回「私への質問」賞を差し上げたいくらいだった。ミュージカルの「キャバレー」(完全スペインオリジナル)を、昼の参加者、関係者とともに観た。飽きない。アタマが、カラダがまた軽くなってゆく。よかった。スペイン人は相当面白いかも。私はスペインを相当気に入ったかも。

 カルロスの秘書(?)のマルタ(推定25才、えら張り顔でチャーミングな女性)がホテルのバーで夜中の2時までつきあってくれた。野口さんの代わりの見張り役のムード。野口さん、私1人で飲むから大丈夫です、と言ったのだが、ダメです、マルタが残りますから。マルタもタバコ好き、酒飲み。英語で大笑い。マルタは大声で大笑い。酒の失敗談、マルタの半生、ヨーロッパ転々の話を笑いながらしゃべるからまた面白い。腹がよじれるほど笑ったらその結論が悲劇で、ソーリー、さっきは笑っちゃって。ノープロブレム、飲みましょう。私の競馬の話にも興味をもってくれて。ビール2本、ブラッディマリー、ジントニック2杯、赤ワイン2本を2人で。日本にいるかのよう。ってどの国にいても飲めば一緒の私です。

シーユートゥモロー グッナイ でバタンキュー。(次回完結)

#id06030010 | 出張 | posted by 鍜治真起

2006年03月29日 20:05

3日目の午後

 スペインに来て3日目の午後、初めての自由時間。4時間ポッキリです。修学旅行より少ない。ま、いいんだけど。今までずーっと野口さんと一緒。朝9時から夜中の2時まで。昼飯も晩飯も。野口さんは疲れていると思う。お年寄りで、今までに経験したことのないジャンルで、しかも私の通訳で。私は社員にも飲み屋のバカ女にもときどき「カジ語だから」「あ、オレがわたしが翻訳する」という言語明瞭意味不明の8文字熟語であしらわれる日本人なのである。「あのお、野口さん、よかったら休んでください。午後はボク1人で大丈夫です。勝手に美術館、行けますから」「それはダメです。私のことなら気にしないでください。じゃあプラド美術館に行きましょう、すぐそこですから。ゴヤはゼヒ見てください、ヴェラスケスは全作品の半分があります。ルーベンスもエル・グレコも驚きますよ」「はーい」

 確かに驚いた。ヴェラスケスの「ラス・メニーナス」は怖くなる。ゴヤは「着衣のマハ」「裸のマハ」でホンモノ。ごめん、単純なビックリの仕方で。黒の時代の「サターン」が圧巻。来てよかった。そのあと歩いてソフィア美術館で「ゲルニカ」だ。えっ? こんなもんなの、大きさ。見ているうちに、でかさと構図と中身がひしひしと迫ってくる。へええ。ダリのホンモノともご対面。何もかも忘れる。カラッポなアタマになっていく。皮膚の毛穴が反応していくカンジ。来てよかった。

 野口さん、ビール飲みましょうか。カジさん、それより食事してませんでしたね。野口さん、じゃ飲みながらちょこっと。で、ビアハウスに入った。タパス(スペインの軽い料理)を選んでビール、ワイン。うまい。しばらく話していたらはるか向こうのテーブルの青年4人組がチラチラこちらを見ている風。そのうちの1人が向かってくる。来た。「アー・ユー・スードク・ホニャラカ・マキ・カジ?」。野口さんが受け答えに代わる。「カジさん、サインしてくださいって言うんですけど」「あ、いいですよ」。おいおい。だが平静を装い。テーブルにあったナプキンに漢字でサインをして、青年の名前を聞いて書いて。握手して。参った。

 「カジさん、昨日のテレビと今日の新聞ですよ。うれしいなあ」と野口さんの方が先に喜んでいる。「は、はあ」と私。もう1人の青年がノートを持ってきて、またサイン。うれしいなあ、と後追いの私になっていた。店を出るとき、手を振る青年4人組にこちらも応えて。ホテルまでの帰り道、横断歩道を渡っていたら、すれ違いの30代女性に肩を叩かれて彼女が「ハーイ」。私はキョトン。人違いですよ。野口さんが「すごいですねえ、カジさん、スターですよ、有名人ですよ」。「いや、人違いですよ」。分からんことになっているぞ。ホテルで着替えて次のスケジュール。野口さんとタクシーで移動。交差点で止まりました。ふとトナリのタクシーを見たら若い3人の女性客がはしゃぎながらこっちに手を振っているではありませんか。無視するわけにも行かず、手を振ったらまた3人、はしゃぎすぎたアクション。窓を開けて叫ぶホニャラカスペインゴ。おお、タクシー、すぐ動いてくれてよかった。こういう驚きは初体験。そりゃそうか。なんだかなあ。体験していいのか悪いのか。そうじゃないな。オレは着ぐるみだ、かりそめだ、ぶつぶつ。理解を超えているよ。結局、帰るまでに100人近くにサインしましたとさ。昔話です。Tシャツからタバコのパッケージまで。サインはどこにもできるもんだった。キオスクのばあさんには手を合わせて拝まれたもんなあ。参る。

夜の話はカット。うまいもん食って寝た。(続く)

#id06030009 | 出張 | posted by 鍜治真起

2006年03月28日 18:31

3日目の午前

 3日目。前の晩は企画会社の笑わせる3人(エネイダも含む)と「CASA LUCIO」という、老舗のスペイン料理屋で夜中の2時まで。一緒にワインを飲み続けたハビ(推定32才、まじめな男性)がDUCATIにまたがり、ブゥオオオンと帰って行った。アリなの?

 朝10時からのインタビューだと半身浴していたらチャイムが鳴り、野口さんだった。続けて4,5人が入ってくる模様。はっ? インタビューが増えたらしい。はいはい。エルムンドのポロシャツを着て引き戸を開けたらいきなりのインタビュー開始。私もタバコを吸いながらの受けこなしで、束の間スター気取り。クセになりそう。「窓の外、空をぼんやり見て何か考えてください」で写真撮影とか。「あぐらをかいて、馬券に当たって両手を上げて喜んでいるポーズをとってください」は次の新聞社。何でもこなせる自分が怖い。声も張り上げるサービス付き。仕切っているエネイダは腹を抱えて笑い、OKサイン。君のためなら何でもするよ。エルムンドの仕掛け人、カルロス(推定45才の大男で童顔)が、今朝出た新聞(3種類)を見せてくれた。仰天の私の扱い。どれも「数独の父」「ハポンから来た数独の生みの親」とかで、1ページ丸々。写真が恥ずかしい。硬い新聞の出だしは「54才のMAKI KAJIはお茶目だった」と野口さんが訳してくれた。なんだかなあ。腹をくくった私ですが。エネイダが昨日のテレビで放映された(夜の6時と9時のニュースで)ビデオを持っていて、なんとベータ方式のそれだった。DVDに落としてくれることになって1件落着。ふー。

 午後からがまた驚く。(続く)

#id06030008 | 出張 | posted by 鍜治真起

2006年03月27日 17:09

スペイン2日目

 9日。結局インタビューは申し込みが4,5件増えまして、ゼンブ終えたのが夜の9時。15件をこなした。10日はまた増えていて、帰るまでに25件。リチャード・ギアを超えたそうな。芸能人はエライ。よくこなすものだ。もういい。でも私はそのときなぜか疲れが楽しみに変わっていた。質問が日本や香港と違って、同じ質問がなく、バラエティに富んでいて、どのメディアとも新鮮な気分でつきあえたのだった。ゴシップ週刊誌は「天ぷらとスキヤキとどっちが好きですか」、バルセロナから飛行機で私だけのインタビューにマドリーまで来たバンガルディアという、老舗の新聞社は「生まれてから<お父さん>と言ったのが先か、<1から100までを>言えたのが先か教えてください」、経済新聞社は「SUDOKUで儲かったお金を今後何に使う気ですか」、若者向けのフリーペイパーの記者は「競馬で神のお告げで買う、とメールの取材では聞きましたが、あなたの神は何ですか。それともひらめきということですか」。そのフリーペイパーの女の子は事前に東京へ質問状を送っていた子だった。ジミー(ニコリの財務&広報)は勝手にメールを送り返していた。それで書いてくれればいいのだったが、マドリーでわざわざまたインタビューを申し込んでくれたのだった。まあ、飽きなかった。面白かった。彼らも遊んでいるかのよう。


 日本では、数独のいわれを教えてください、流行った理由を教えてください、今どうなってるんですか、これからどう思いますか、と同じ質問なら同じ答えにしかならない。これはつまらん。夢は? 「ない」。ビジョンは? 「ありません」。スペインのインタビューは肩こりもとれるくらいだった。テレビもリハーサルなし、もちろん質問もぶっつけ本番。はやいはやい。ラジオ局のインタビューだけ、部屋を出てスタジオへ。初めて市内を歩いた。のどかでいい街。モノトーンで、石造りのビルが続くストリートはカラフルな看板が一切ない。落ちつく。パーソナリティとの録音が終わり、出ようとしたら「もう1回」だと。歌手じゃないのに。今の録音がハードディスクに落ちていなかっただと。これがスペインなんですよ、すいません、と通訳の野口さん。いや、面白い、ノープロブレム。いいなあ。そう言えば新聞記者の録音機はみんなカセットテープだったよ。なんか途中に裏返していたよ。いいなあ。(続く)

#id06030007 | 出張 | posted by 鍜治真起

2006年03月24日 17:30

初日の話は長い

 宿泊先のパレスホテルはあのプラド美術館の前にあった。文句なし。古い石造りのヨーロピアンホテルだが、ウェスティンHグループの一。私の(?)スウィートルームに3人で入ったらリビングルームには「EL MUNDO」と「SUDOKU」の、ロゴと文字が市松模様になったでかいボードがソファの後ろの壁にどかんとあり、プレス用のチラシが並び、すぐにここがインタビュー会場になるのだな、しかしオレの部屋で? オレの居所は? とわらわら明中模索。従う3日間になるのであるな、私は。ふむふむ。お国柄がどうのこうのではなく、数独チャンピオンシップの仕掛け、仕込み、仕組みをうっすら理解していく作業のアタマになっていた。

 夜の10時。晩飯にちょうどいい時間だ、と2人が。はっ? 疲れているから和食がいいでしょう、と野口さんのありがたいお言葉で寿司屋へ。空席が目立つ日本食レストランはその後1時間で満杯となる。そういうお国柄なのだな。私は日本でもそんな時間にいちばん元気になっているから問題なし。エネイダが私の後ろの席のことを野口さんにペラペラ。野口さんが言う。カジさん、後ろに日本で公演したこともあるスペインで今いちばん人気のあるフラメンコダンサーが食べているんですって。ハイ、えっ あの太ったおばさんですか? はい、そうなんですよ。知らぬがほっとけ、で、ほうれん草の胡麻和え、握りが抜群に旨い。アジ、鯖は日本とまったく同じ品種(?)である。こちらは鮭は食べるがイクラは食べなかった、アンコウは食べるが肝は捨てていた、の話をしつつのイクラがまた絶品。マグロも一級品。マグロは地中海からもっていってるんだからな。明日からの仕事の話はゼロ。だからまた冷奴もうまいのだぞ。イギリスとはちょいと違うな、面白そうだな、乗ってやろう、ゼンブ。

 別れる前にエネイダがエルムンド社のポロシャツをプレゼントしてくれた。これを明日着てくれるとうれしいんですが、と聞いたとき、一瞬酔いが覚めた私であった。明日ねえ。あのスケジュールねえ。さっさと寝た。8日のことだった。

3月9日
* 09:00-10:00 エルムンドTVのインタビュー
* 10:00-10:30 コルピサ新聞インタビュー
* 10:30-11:00 アンテナ3(TV局)インタビュー
* 11:30-12:00 カデナセル(ラジオ局)インタビュー
* 12:15-13:00 カナル4(TV局)インタビュー
* 13:00-13:30 ラ・ボツデ・ガルシア(新聞)インタビュー
* 13:30-14:00 クエ(新聞)インタビュー
* 14:00-15:30 エルムンドのジャーナリストと昼食
* 16:00-16:45 プリサラジオ(ラテンアメリカ向けラジオ)電話インタビュー
* 17:15-18:15 エポカ(雑誌)インタビュー
* 18:15-19:15 ラ・バングァルデイア(新聞)インタビュー

3月10日
* 10:00-11:00 シンコディオス(経済誌)インタビュー
* 11:00-12:00 エル・セマナル(雑誌)インタビュー
* 18:00-19:00 エスパーニャ・ディレクト(TV番組)インタビュー

#id06030006 | 出張 | posted by 鍜治真起

2006年03月23日 17:32

旅か仕事かスペイン行き

 招待、タダ、のスペイン行きは気が重い。束縛されているようで。仕事だからか。何が待っているのか分からないのはいつものことだが、分からない仕事はしたくない。ま、そんな気分。パリ経由マドリッド往復をロンドン経由マドリッド往復に替えてもらい(直行便はありません)、帰りのロンドンで1週間泊まることにした。スペインからきたハードなメニュー(私には)でくたくたになって気がついたら成田はやだ。ロンドンでの仕事を強引に1件くっつけ、それを理由に1週間滞在。ハハ、ちょっと長いな。いいんだ、クールダウンだ。

 ロンドンでのトランジットは1時間15分。ホントかよ。案の定、ヒースローでの乗り換えは走りました。まったくなあ。で、マドリー着21時半。向こうではマドリーと言います。バッグが出てくるのを待っていたらケータイが鳴り、日本人(?)がでた。通訳の人だった。そうだ、誰がどこで私をピックアップしてくれるのか、昨日聞いたのだった。通訳の野口さん(推定62才で昔はジャーナリストの男性)とエネイダさん(第一印象ペネロペ・クルスの妹で仕事好き)の2人とご対面。初めてのスペインは寒かった。今日からスペイン報告、始まります。

#id06030005 | 出張 | posted by 鍜治真起
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