2015年11月16日 11:42

お祝いのコトバ。

 月刊「本の雑誌」というのがある。創刊40周年を迎えた。面白い本ばかりを紹介してきて40年である。創刊時から「本は娯楽だ」と、椎名誠、目黒考二、沢野ひとし、木村弁護士それぞれが勝手にエンタメ本を自画自賛してきた。画期的で孤高な雑誌。
 この雑誌がこの度「菊池寛賞」を受賞した。素晴らしいことである。
 コンセプトが一切変わらず、今は浜本茂が目黒さんから社長を引き継いで、ぶんぶんパワフルにしている。今をときめく「本屋大賞」の発案も彼である。

 その「本の雑誌」黎明期にファンになった私は、1980年、「パズル通信ニコリ」を創刊する。「本の雑誌」に遅れること(?)5年。何もかも知らぬ私は、偶然、目黒さんに会えることがあり、出版方法、出版形態、出版流通の何もかもを目黒さんから教わり、すべてを真似したのだった。誌面作りも真似。
 「本の雑誌」は出版界ではゲリラのパイオニアだったので、私たちはその踏みあとをトレースしていっただけ。体育会系の「先輩と後輩」の気分である。と、私だけそう思っていた。だからラクできた。

 ときどきニコリでトラブルやアクシデントが起きると、私は勝手に目黒さんに電話して、相談に乗ってもらった。
 「払ってくれない書店があるんですけど」
 「やめちゃいな。置くな、置くな」である。大書店なのに。ああ。
 「あるところでパズルをコピーされてんですけど」
 「キミのところは強者なの? 弱者ならケンカしても良いけど、強者なら黙ってるよ」である。男らしいなあ。ああ。
 「新刊配本に3週間かかって、遅い書店からクレームがくるんですけど」
 「まず首都圏は外側から。16号線の輪っかから都内に向かって配本しろ」である。わあ、都心の方が売れるからはやく納品したいんだけどなあ。ああ。
 その他たくさん、入れ知恵をしてもらった。

 そんな「先輩」がこの度の勲章をいただき、サイコーにうれしい。よかったね、浜ちゃん。
 いま発売中の月刊「文藝春秋」(十二月号)に「お祝いのコトバ」を書いている私です。なんで私なんぞが、と未だに謎ですが、喜びは人一倍だから勘弁。

#id15110002 | 雑ネタ | posted by 鍜治真起

2015年11月09日 11:07

見っけ。

 9月上旬のこと。昼過ぎに、カレー南蛮を食べようと、決め打ちで上野「翁庵」に入ったら「カジさん」と声をかけられた。「おおう、しのちゃん」
 妙齢なしのちゃんが、厨房の洗い場からエプロン姿で客席まで出てきてくれたのだった。2年ぶりである。いつも夜のスナックの話し相手(?)だったからびっくり。その店は辞めて1年前からここで働いているとのこと。また会いましょう。

 9月中旬のこと。伊豆高原から熱海にクルマを運転していた4時頃。伊東駅前でおいしいブドウパンと、おいしい揚げ饅頭をお土産に買おうと、クルマを駐車場に入れ、寄り道。 そしたら駅方向から歩いてくるテラちゃん(70才)とばったり。
 「お前なにしてんだ」
 4時間ぶりである。ゴルフ場で勝手に別れたのだった。テラちゃんは東京に帰るだけ。 「飲むか」「はい」ってなもんで、私はクルマを「24時間上限700円」の駐車場に入れ替え、ゴルフ仲間の吉野さん、エージさんと再会し、飲み直したのだった。

 10月上旬のこと。昼前に国分寺駅「丸井」の地下食品売り場で、昼飯の買い物をしていたら「カジさあん」とやんわり後ろから声をかけられた。「おおう、お母さん」
 元社員のお母さんで、彼女の方が地元なのであった。「まああ、(後略)」

 10月中旬のこと。昼過ぎに、生姜焼きを食べようと、浅草橋「大吉」に入った。テーブル4人掛けに相席。珍しく空いている店内だから新聞を広げてゆっくり。のんびり食べて、競馬欄を。そしたら「カジさん」と斜め前の男性が。
 「シバ・オフィスマシンです」。わああ、そうだよお、びっくり。お互い一人。私はまったく気がつかなかった。彼は私に気づいていたが、競馬欄をじっくり読んでいるので、カジと確信し、声をかけてくれたのだった。


 そんなことで「見っけられ」の人生が続いているので、これは後手を踏んでいるな、と。良くないと。情けないと。そう思って今、私の趣味は「見っけ」。

#id15110001 | 雑ネタ | posted by 鍜治真起
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