11月9日(木)

 帰京日。
 新幹線車内でも作業を進めようとしたが、なんと浜松をこえたあたりでシャープペンシルの芯がなくなり、作業は強制中断。のりのりだっただけに、無念である。
 仕方ないので蛍光ペンで用紙の裏にドラえもんの落書きなどをして車中を過ごす。えかきうたを口ずさむのは何年ぶりだろうか。そういえば昔はドラミちゃんのえかきうたも歌えたような記憶があるが、今の僕はどんなに努力しても最初のフレーズすら出てこなかった。

 というわけで自宅に帰り、10日間にたまった雑事をこなしていく。留守電に同じ人からのメッセージが10件近く入っていた。ああはい私がわるうございました。すぐ連絡させていただきますが今日は勘弁してください。

 夜、手付かずの中央部を初攻撃。
 ねとつくような解き味の目指すも、大いに失敗する。それどころかハタンの連続である。その後2、3時間にわたりがんばるものの、閉じた空間に奇数本のループ端が入り込むという素人のようなミスが発生し、修正しても別の部分で同様のハタンを生じる、という不思議な現象が連続して起きた。よくよく調べてみると、原因は点形そのものにあることが判明。なんというか、この点形で、数字配置にある仕掛けを施すと、奴は実に巧妙な動きでハタンを連鎖させていくのである。ガン細胞のようなものである。すごいなあ。
 とりあえず根本部分を治療し、力ずくで修正。数字を別紙に書き写してチェックしてみる。一応解けたが、解き味が冴えない。ハタンを回避するために多くのものを犠牲にしてしまったようだ。

 こういう場合は素直にあきらめるのが解き手のためだろう。というわけで20×30くらいの領域全部を威勢よく消しゴムで消し去る。さらばガン細胞よ。もう二度と会うことはないだろう。
 文字通り白紙に戻る3A。

 徒労の数時間ではあったが、新しい発見ができたことで、奇妙な満足感があった。
 そしてその奇妙な数字配置については、永遠に私の頭の中に封じ込められることになるのであった。
 知りたいでしょ?でも教えない。