11月17日(金)

 夜、仮眠から目覚める。何時に寝たのかまったく記憶にない。
 床におかれた15枚の紙を見て、寝ぼけながらも頭が勝手に戦闘モードになってゆく。まだ数字の埋められていない、琵琶湖のような形をした空白域が、今日の戦いの舞台である。
 者ども、かかれぇ!おぅ!

 などと妄想を膨らませている余裕はないのであった。
 明日、飛び込みで仕事が入ってしまい、午前中に人と会わなくてはならなくなり、どんどん日程がつまっていっているのである。

 とりあえずチェックに1週間は間違いなくかかるので遅くともあと一日で数字入れが終わるくらいまでに今日は進めておきたいのであった。外気を吸わないようになって三日目だが、もうそんなことを構っている余裕はないのである。

 食事などを済ませ、作業開始。入れるべき仕掛けはあらかた入れ込んでしまったので、あとはその間の幕間、スタンダードな解き味で進む地味な部分を埋めていく。メインルートの邪魔さえしないように作ればいいので、ほとんど何も考える必要がない。文字通り、右手が勝手に動くだけである。
 左手で他の用事を済ませたり、電話をしたりしても右手はそのスピードをゆるめない。うぉー俺ってすげー。そしてどんどん盤面は埋まって行く。いけいけどんどん。

 ところで、「赤いくつ」という最後はひいじいさんに連れられていっちゃう歌があるが、それとは別に「赤いくつ」という童話があるのをご存知だろうか。
 赤いくつを履いたら体が勝手に踊り出して、女の子は最初は嬉しくてそれはそれは得意げに踊って見せるのだが、その靴にはばっちり呪いがかけられていて、脱ぎたくても脱げず、踊りをやめたくてもやめられず、遂に女の子は踊ったまま死んでしまう、というストーリーである。

 というわけでもしもこの日記が今後更新されないようなことがあればそれは右手に握った赤いシャープペンシルがどうしてもとれない僕がスリリンを作り続けながら死んでいるという可能性もないわけではないのでちょっと心配しながら次の更新を待っていてくれると嬉しいです。